2008年10月19日(日)
第27回蒜山高原マラソン全国大会
- ハーフマラソン一般男子の部
- 記録 2時間12分15秒
残り5キロ、駆け出した足はもう止まらなかった。
思い出そうとしてもなぜあの時駆け出したくなったのか思い出せない。耳にしていた iPod からそのとき流れだした音楽はケミカル・ブラザーズの「Pioneer Skies」。この曲を聴くと自然と気持ちが高鳴り駆け出したくなることが以前にもあった。
走り切れると思っていた。
走り切れると錯覚していた。
およそ2キロほど駆けたあとは見事にそれまでの走りを忘れるように失速していた。
この日の蒜山はずいぶん暖かく、ひんやりとした秋風とも無縁な暑いくらいの体感温度。この調子だとレース中に喉が渇いて影響が出るのではと懸案していたが、蒜山高原の空気や水のおかげか水分補給もそこそこに最後まで潤いを保つことができた。
スタートから5キロを過ぎ、10キロ地点に向かう頃には過去2回のハーフマラソン挑戦との違いを確信していた。地に着く足に、腕を振る上体にチカラを感じていた。
思い起こせば過去2回はこの時点ですでにバテが進んでいたように思う。走りに地力を養うため昨冬より取り組んでいる定期的・継続的な走る練習が今まさに力を発揮したといえる。
その練習とは中2日、中3日でできるだけ休まず走ることを続けるということ。現在もこれを継続しているが、いたってシンプルと頭ではわかっていても続けるということはなかなかムズカシイ。できれば中1日、中2日とインターバルを短くしてさらなる地力を高めたいと考えている。
走りの地力を高めるそのほかにもさまざまな試みをこの蒜山マラソンに問うてみた。そのひとつが重心を低く保つことで、その効用で前方向への走りの推進力が得られないかと考えた。
膝を曲げ重心を低く構えることで体のいたるところの筋肉の緊張は抑えられる。このことは疲労軽減、走り美の持続力につながる。重心を低く保つ下方向へのチカラは、それと相反する上半身の重みを支える上方向へ押す(引っ張る)チカラとの絶妙なバランスによって前方向への推進力として昇華されると考える。
今大会で走りにチカラを感じたのはこのことが大きく作用したように思う。重心を低く保つことは日常生活の 歩く にも活かされる。リラックスした状態での歩くが実現する。大いなる理想としては 走る と 歩く の所作がいずれ等しくなり、それぞれの動作の移行はシームレスでありたい。
重心を低く保つ は、それなりの成果をあげたように思う。ただこの挑戦は欠点をも浮き彫りにしてくれた。それはこれまで不確定要素として棚上げされていた腕の所在についてである。
後に今大会の走りをビデオチェックしたところ想定より明らかに腕位置が肩の後方へとズレていた。肩位置もより後方へ。この腕位置の後方へのズレは走りの体重移動においてストッパーの役割を果たしていた。いつまでも腕が後方に残ることで体重移動つまり前方推進力のブレーキとなる。
このズレの発見は非常に残念ではあるが、走り美も腕の使い方について言及できるところまで来たと思えばウレシイかぎりである。これまで腕を走りにどう連動していくかまったく答えを見出すことができなかった。腕位置の修正は今後の大きな課題として印象付けられた。
そしてふたたびハーフマラソン残り5キロ、謎のラストスパートに話を戻す。なにがそうさせたのか、とにかく今大会の走りは走りながら好感触を得ていたことは確かで、あの時点である種確信をもって駆け出したことも否めない。
しかし、やはりというか結果として失速... 残りの体力を一気に使い切るという目も当てられない状況となった。辛抱... 今一度の辛抱を叩き込まれた苦くも良き教訓となる出来事であった。
ムリのないムダのない走りを標榜する 走り美 にスパートは必要なのか、これもまた大きな命題として残った。
成果は、走り美を構築する思考の拡大・深化にとどまらず数字としてもあらわれてくれた。これは正直うれしい。頭では進化は止まってないとわかっていても数字にあらわれると実証できたと心底思える。ただ数字といっても記録はいたって平凡。ノビしろが多いぶん成果も得やすいというわけだ。
過去2回のハーフマラソンはどちらも2時間32分で走り、変化が見られないことに少なからず焦燥を感じていた。それが今回は2時間12分でおよそ20分のゲインである。驚きとともに喜びもひとしおであった。体感としての 走り の力強さと結果としての数字が一致して走り美はまた一歩前に進めたように思う。
蒜山高原マラソン大会にまた挑戦したいと思う。それは蒜山高原という土地風土が好きだからなのか、それともこの大会にまだ何か求めるものがあるからだろうか。次なる展開を見据えながら...
いつも応援ありがとうございます。
今後ともよろしくお願いします。