走り美 Quality Of Running
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過去に参加したマラソン大会のレポート

第26回蒜山高原マラソン全国大会 2007.10.21

2007年10月21日(日)

第26回蒜山高原マラソン全国大会

ハーフマラソン一般男子の部
 記録 2時間31分52秒

あの老師の背中を追いかけて...

第26回蒜山高原マラソン全国大会 フォト2

マラソンは前日から始まっていた。倉敷では想像のつかない寒気が蒜山にやってきているそうだ。今年もお世話になった蒜山倶楽部 Nadja のマスターも開口一番「今夜は寒いですよ」とおどかす。こたつはもちろん灯油ストーブ、電気毛布も用意してますからと笑顔で自作のコテージまで案内してくれる。

確かに夜は冷え込みそうだ。寒さに不慣れなため対処法がわからない。寝るときはエアコンを使ってくださいとご主人、さらに寒さ対策を伝授してくれる。いったいどんな冷え込みがこの蒜山にはやってくるのかと想像もつかない。

第26回蒜山高原マラソン全国大会 フォト3

十分に寒さへの意識は高まり明日に向けての夕食である。昨年はこちらで食革命、食レボリューションを体験し、それからの食生活、食と走りの関係が大きく変化した。よく食べる、よく食べる、とにかく食べる。食べることは走りの地力を養う。これまでのスタミナ不足への不安を解消すべく食べることに挑戦している。おかげであの Nadja ディナーもペロリといただくことができた。昨年はあんなに苦闘したのに...

しばし文明と離れたほぼ無音の心地よいひと時を過ごし、未知の蒜山ナイトへと進む。エアコンの設定は? 電気毛布のオンオフは? 環境次第で明日の走りにも影響してくる。

暑い。

ここだけリアルサマーがやってきた。あまりの暑さに額に汗をにじませながら起きた。どうやら不思議に感じつつも前日のエアコン設定そのままで眠りについたのが原因だろう。たしか30度に設定されていたような... 体が冷えきってしまうことを心配していたが、逆にひと汗かくことになるとは。マラソンはすでにスタートしていることを痛感した。

第26回蒜山高原マラソン全国大会 フォト4
第26回蒜山高原マラソン全国大会 フォト5

幸か不幸か、大会当日には蒜山の大地から伝わる寒さを認識することができていた。これから大気を温めてくれる日差しの強さと大地からの寒気の寒暖の差は、当日の体調に大きく影響するであろうことが予想できた。

しかし、そんな環境変化にも微動だにしない強靭な肉体をもった周りのランナーたちに驚きを隠せないでいた。この様子だとまだ足りない。体づくりはまだ十分でない。

はたして今年もハーフマラソンを走り切ることができるのか。

後方からのスタートを望んだ。自分のペースを保つこと、これこそが 走り美 につながる原点となる。これは昨年からの教訓でもある。屈強なランナーたちに囲まれて走るとおのずとその力に流されてしまう。とてもマイペースとは言い難いがんばる自分がなんとしてもそこに残ろうと努力をはじめる。

第26回蒜山高原マラソン全国大会 フォト6

スタートの合図。後方までそのスタートの波が及ぶには少々時間がかかった。おかげで上々のスロースタートを切ることができた。ただ残念なこともある。出発が遅れたぶんタイムにもそれが反映されていた。適度なスタート位置、適度なスタートスピードが今後の課題となる。

5キロ手前にあるお馴染み心臓破りの坂にももう慣れたもので、残り15キロを考えると坂に逆らうことなくまるで足踏みしているかのようなイメージで足を運ぶ。

第26回蒜山高原マラソン全国大会 フォト7

坂の多い蒜山高原のマラソンコースから学ぶことはおおく、坂は上りのあとには必ず下りがやってくる。上りに対する走りの課題もあるが、下りの走りには課題山積である。この坂への対抗策として今年はひとつのアイデアを試してみたかった。

第26回蒜山高原マラソン全国大会 フォト8

その対抗策とは、坂の傾斜角度に関わらず水平0度から垂直に立ち上がる自らの上体をイメージし維持することで、太もも・ひざ・ふくらはぎ・足首すべての足への負担が軽減できないかと考えた。

このアイデアは上手くいったともいえるが不完全でもあった。特に下り坂に対してはひどい。残り5キロのスタミナ不足の原因ともなる足の疲労蓄積の多くは下り坂でつくられたといえる。上体を垂直に維持するイメージに集中しすぎたため肩が上がり、その肩の重みがそのまま足にかかる結果となった。

第26回蒜山高原マラソン全国大会 フォト9

今回のマラソンで一番の気付き・発見の多くは、あの老師の背中を追いかけて最後には見えなくなったその姿から得たといえる。まぁ、老師と勝手に言ってはいるが走っている姿のその凛とした様は思わずそう呼びたくもなる。

おそらく年齢は60、70歳をオーバーしているのではないだろうか、しかしその年齢とはとても想像できない立派な足腰であることは一見にしてわかる。自分の足と見比べてみてもなんというか筋肉の目が詰まっているというか筋肉の質が違うように思う。

第26回蒜山高原マラソン全国大会 フォト10

そして、その力強い体で走るリズム、淡々と刻むリズムは一貫していて一定である。そのリズムこそが年齢を問わずハーフマラソンを走り切る秘訣とでもいえるのではないだろうか。

そんなこともわかっていない僕はマイペースを保っていると思い込み、老師の背中が近づいてくることを喜んでいた。一時は僕のほうが先を進むこともあったが、ふたたび追い越されたときにはもうその背中をただ見送ることしかできなかった。

第26回蒜山高原マラソン全国大会 フォト11

一定のリズムを支える強靭な肉体、ブレることのないリズムを保つ強い精神力が走ることには不可欠であるとあらためて認識させられる思いであった。

老師はすでに自らの走り美を獲得されたのだろうか。それともいまだ追求の途中なのだろうか。次こそはアップデートした姿でぜひお目にかかりたい。もう置いていかれるようなことはないように。

第26回蒜山高原マラソン全国大会 フォト12

多くのチャレンジの検証と多くの課題を教えてもらい僕のハーフマラソン挑戦は完走で終えた。タイム的には昨年と代わり映えはないが、走りの質は、走り美の内容は確実に深化していると感じている。

まだまだ試したいこともあるし、まだまだ走りたいとも思う。ムリのないムダのない走りを獲得するため、またハーフマラソンに、いずれフルマラソンに挑戦したいと思う。

応援ありがとうございます。
今後ともよろしくお願いします。